2024年7月14日(日)、早稲田大学大隈記念講堂にて開催された「CROSTAGE」は、学生たちの交流と創造が一体となった注目のイベントとなった。
本イベントは、「早稲田大学フラッシュモ部」と「AGESTOCK2024実行委員会」が共同で企画したもので、”37の学生団体が0から創る総合学園祭”というキャッチコピーを掲げ、早稲田大学内外から幅広い学生団体が参加。大学の枠を超えた新しい形の学園祭として、多くの来場者で賑わいを見せた。 コロナ禍により学生同士の交流機会や、従来の学園祭といったイベントが減少した中で、この「CROSTAGE」は学生たちが再び顔を合わせ、共に楽しむ場として重要な役割を果たした。参加団体は多様で、パフォーマンスや展示を通じてそれぞれの個性を発揮。会場内は終始和やかな雰囲気に包まれ、まさに「総合学園祭」の名にふさわしい盛り上がりを見せた。 「CROSTAGE」を通じて、学生たちは新たなつながりを築き、コロナ禍で失われた「学園祭文化」を取り戻そうとする動きが着実に広がっていることを実感させられる一日となった。
オンライン記事と紙面で出版される10月号での掲載を予定しているが、ここでは「CROSTAGE」の開催内容や出場団体について扱う。また、10月号の紙面記事では開催に至るまでの経緯など、開催者との取材内容をもとに「CROSTAGE」の全貌に迫る予定だ。
第一部『盗まれた大隈記念講堂の鍵を取り戻せ』
第1部では、「CROSTAGE」開催までの物語が映像作品(PV)で描かれ、来場者の注目を集めた。映像は、イベントの開催が決定した直後に起こったトラブルから始まる。舞台となる大隈記念講堂の鍵が何者かによって盗まれてしまうという緊急事態に、主人公たちは立ち向かうことになる。 鍵を取り戻すため、彼らはさまざまな試練や困難に挑む。その過程で、仲間と共に努力を重ね、成長していく姿が感動的に描かれた。PVは、困難に直面しながらも一歩ずつ前進し、「CROSTAGE」の実現を目指すストーリーを通じて、イベントそのものの意義と学生たちの情熱を来場者に伝えた。
幕開けを飾ったのは「早稲田大学書道パフォーマンスサークル漣」による公演。巨大な半紙に"情熱"の文字が力強く書き上げられ、その迫力ある筆跡が会場に鮮烈な印象を与えた。続いて、三味線とダンスの異色コラボレーションが披露され、自然と手拍子が広がり、観客との一体感が生まれた。さらに、創作ダンスと流行楽曲を融合させたステージでは、息をのむようなパフォーマンスが観客の目を釘付けにした。会場内には時折笑い声も響いた。着ぐるみのパンダ「パンちゃん」とアムールトラ「アムちゃん」によるコミカルでキレのあるダンスパフォーマンスは、特に観客の笑いを誘った。また、筑波大学ヒーローアクション同好会による悪党退治のステージも大きな注目を集め、観客を楽しませた。
フィナーレを飾ったのは、「東京都立大学応援団男子チアリーディングチーム『MAXONS』」だ。手拍子とともに観客席から登場し、何が始まるのか分からない緊張感を漂わせたが、始まったパフォーマンスは観客の期待を大きく超えた。男性ならではのダイナミックなフィジカルを生かした大ジャンプやバク転、バク宙は、圧巻の技術でステージを彩り、観客の熱狂的な歓声を引き起こした。彼らのパフォーマンスは単なる応援を超え、会場全体をひとつにまとめ、エネルギーに満ちた空間を作り上げた。ステージが終わると、観客からは惜しみない拍手が湧き起こり、その余韻がしばらく会場を包み込んでいた。
コロナ禍によりしばらく見られなかった活気あるステージと観客の熱気は、まるで過去の光景が蘇ったかのようだった。困難な時期を乗り越え、再び笑顔と感動を共有できる瞬間が訪れたことを、多くの人々が実感した一日となった。
第二部『一歩踏み出す、私だけの世界旅行』
第2部では、世界をテーマにした多彩なパフォーマンスが披露された。韓国、エジプト、イギリス、日本といった各国の音楽や伝統文化が紹介され、観客を異国情緒あふれる旅へと誘った。
「早稲田大学のモダンジャズ研究会」は、英国風のシックな演奏を披露し、重厚なサウンドとエレガントなメロディで観客を魅了。
続いて「早稲田大学ベリーダンスサークルSARAHbelly」によるエジプトのベリーダンスが幻想的なリズムに乗せて披露され、煌びやかな衣装とともに異国の美が会場に広がった。韓国からはエネルギッシュなK-POPダンスが登場し、スタイリッシュな振り付けで観客を熱狂させた。振り付けには観客が参加できる要素もあり、一体感が生まれた。
最後の盛り上がりを見せたのは、日本の伝統文化を取り入れたパフォーマンスだ。「早稲田大学 下駄っぱーず」による下駄を履いたダンサーたちが繰り広げた軽快なステージや、世代を超えたメンバーの共演は、伝統と現代の融合を象徴するものだった。
最後に披露された和太鼓の演奏は、力強さと繊細さを兼ね備え、日本の自然や精神を感じさせるパフォーマンスとして観客を圧倒。鈴の音色と太鼓の重厚なリズムが見事に調和し、会場全体を魅了した。
第2部の、多様な文化と音楽を通じて、国際的な視野と深い感動を観客に届けるステージは、世界各国の文化を大学生ならではの視点で表現した。それにより多くの人々に新たな刺激と共感をもたらしたイベントとして、記憶に残るものとなった。
第三部『Twilight Theater』
映画の世界を舞台にした今回のパフォーマンスイベントは、誰もが一度は耳にしたことのある名作の楽曲に彩られ、観客を魅了した。冒頭のユーモラスな演出として、映画館でお馴染みの『NO MORE映画泥棒』をオマージュした注意喚起が流れ、観客の笑いを誘いながらも期待感を一気に引き上げた。
次に登場したのは、映画『ラ・ラ・ランド』の楽曲に合わせた華麗なタップダンス。生演奏のジャズバンドとともに、20名ほどのドレスをまとったダンサーたちがステージを舞い、息の合った足さばきが軽快なリズムを生み出した。その音が心地よく会場全体に響きわたり、観客たちも自然と体を揺らし、映画のロマンティックな世界に引き込まれていった。続いては、「上智大学インカレチアダンスサークルJESTY」、「SHAMGOD」、そして「東京大学ジャズダンスサークルFreeD」がタッグを組み、映画『ハイスクール・ミュージカル』を再現。軽快なバスケットボールのドリブル音とポップな楽曲が見事に調和し、まるで映画そのものを観ているかのようなエネルギッシュなパフォーマンスが展開された。次々に変わるシーンと絶妙に絡み合うダンスの動きが、観客を一瞬たりとも飽きさせず、どの瞬間も視線を釘付けにした。
そして、クライマックスでは『グレイテスト・ショーマン』の名曲「This Is Me」に乗せた迫力ある旗の演技が披露され、そこから一気に東京女子体育大学新体操競技部による圧巻のステージへと移った。フラフープやスティックを巧みに使ったダイナミックな演技は、観客の心を揺さぶり、会場中から感嘆の声が上がった。その一糸乱れぬ動きと技の連続は圧巻で、観る者すべてが引き込まれた。
このステージは、映画音楽とダンスが絶妙に融合した舞台であり、観客にとっては感動的な時間となった。映画の名シーンを彷彿とさせるダンスパフォーマンスが次々と繰り広げられ、観客はそのたびに映画の世界に没入した。
最後に
それぞれのパフォーマンスが持つ独自の魅力が見事に融合し、最後には全員が一体となるような大きな感動を生んだ。ステージが終わると、観客席には満足そうな表情が広がり、盛大な拍手の中で幕を閉じた。観客たちは、迫力や興奮に浸りながら、心に残るひとときを過ごし、その余韻を抱えながら帰路に着いた。
このイベントは、コロナ禍を経て久しぶりに感じたライブの熱気とともに、映画とダンスの魅力を再確認させてくれた1日であった。観客もパフォーマーも一つになり、忘れがたい時間を共有できたことは、今後のイベントへの期待をますます高めるものである。次回もまた、このような素晴らしいパフォーマンスに出会えることを心待ちにしたい。(小泉陽)
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