「学費値上げに反対する中大生の会」の学生が、1月10日午後、文部科学省で会見し、中央大学が決定した学費改定に対して撤回などを求めた。
会見では、「自助の限界を超えている」と貸与型奨学金によって困窮する学生の声などを紹介し、物価高騰のしわ寄せを「学生に転嫁するのはおかしい」と訴えた。大学から学費の改定に対する説明が不十分で、プロセスを明らかにするよう求めるとともに、国による私立大への助成金の増額も主張した。
中央大は、昨年9月18日から13日間ポータルサイトC-Plus上にて「2025(令和 7)年度以降の学部学費・大学院学費(案)について」と題する文書を公表し、意見を募集した。同文書は、2025年度入学生から学費(授業料・施設利用料)を毎年2%引き上げるなどの改定案を示した。ほとんどの学生が同案を認知できぬまま掲載が終了したことを受け、大学に説明を求める声が高まった。

問題意識を共有した有志の学生が友人を通じて、10月に「学費値上げに反対する中大生の会」を発足。その内、法学部や理工学部の学生(2~3年生)7名が会見に参加した。同会は、学費改定に関して周知が不徹底で学費決定プロセスが不透明だとして、アンケートを実施し、学費改定の撤回を求める署名活動をネット上で展開した。
アンケートは、昨年10月15日から12月22日まで実施し、学内の274人から回答があった。学費改定について約7割の学生が「知らなかった」と回答。学費改定反対も7割を超えた。学内外から集めた署名は1万筆を突破。昨年12月23日に大学へ提出した。大学からはアンケートなどを踏まえて「適切に検討」するとの回答を得たが、今後の取り扱いについて明らかになっていない。

他方、昨年11月、中央大はホームページ上で新たな学費改定を盛り込んだ「2025年度 入学試験要項」を公表した。当初の計画通り、25年度から29年度までの5年間で学費(授業料・施設設備費)を毎年2%ずつ引き上げる。初年度入学する際に必要となる入学金24万円は据え置く。
例えば25年度入学の法学部生は、学費の111万4000円に入学金を加えた135万4000円を初年度に納入。卒業年度の28年度には、118万1800円の学費を納入する必要がある。入学年度と卒業年度の4年間で学費が6万7800円上昇する。
中央大は取材に対し、学費値上げの背景には、運営経費の高騰、施設・設備の劣化、新たな設備投資などがあるとした。加えて、コロナ禍以降の経済情勢や少子高齢化などの社会情勢の変化もあり、「財政的に厳しい状況にさらされている」ことも値上げの背景にある。中央大によれば、物価高騰などで運営経費が増額している中でも21年度以降、学費は据え置いているという。
さらに、「manabaは全学授業支援システムであり、適切ではない」とした上で、全学メールでの周知も「一斉送信する類のものではない」と判断したため、学費改定案をC-Plus上で公開したと中央大は取材に対して回答した。
(小林)
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