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志士仁人 山田昌弘教授に聞く

  • 執筆者の写真: 中央大学新聞
    中央大学新聞
  • 2024年12月17日
  • 読了時間: 3分

第2回の今回は、結婚、恋愛、少子化について研究をしている文学部の山田昌弘教授にお話を伺いました。


文学部 社会学専攻 山田昌弘教授
文学部 社会学専攻 山田昌弘教授

 

「色んな人の家族の物語があるということを研究できるところが面白い」

ー専門分野とその面白みを教えてください。


専門分野は家族社会学です。


みんな家族の存在や、自分の生まれ育った周りの家族の在り方が当たり前だと思っているけれど、そうじゃない。多様と言ってしまえばその通りですが、色んな人の家族の物語があるということを研究できるところが面白いですかね。

 



ー最近関心がある分野は何ですか。


最近は結婚、恋愛、少子化について研究しています。


未婚化が進み、家族や恋人がいない人が増えている中で、そのような人たちはどのように親密欲求を満たしているのか、どのような人間関係に楽しみを抱いているのかについて関心があります。


また夫婦仲の二極化が起きていて、仲が悪い夫婦は、親密欲求をどのように満たしているのかについても今の研究の関心ですね。


 


ー研究の原動力は何ですか。


最近は惰性というか政府やマスコミから注文が入る(笑)


でも興味があることに関しては研究したくなっちゃうんですよね。「独身のおじさんたちって何が楽しいんだろう」とか(笑)



家族の愛情は、人それぞれ

 

ー家族の愛情とは何だと思いますか。


あまりにも人によって多様過ぎますね。


社会学って決めつけることがいけないんです。だからこの人はどのように感じたり愛情を持ったりしているのか、そしてそれはどのような方向に向かっているのかを見ています。


また日本ではあまり夫婦の愛情が重視されていないので、それはなぜかというところも見ています。

 



ー確かに欧米と比べて日本の夫婦は愛情を重視していないと感じますが、それはなぜでしょうか。


日本は親子関係に対して愛着が強いということも理由の一つですが、夫婦や恋人の関係を重視しない代わりに、ペットや推しに愛情をかけたり、ホストクラブやキャバクラに行ったりする人が多いのでしょうね。

 


ボランティア活動をしていた学生時代

ー大学時代はどのような学生生活を送っていましたか。


ボランティアサークルで、子供をキャンプに連れて行くなどの活動をしていました。


きっかけは母親も同じような活動をしていたということが大きいです。同じサークルだった人とは40年経ったいまでも交流があります。講演の仕事をもらったりとか。

 



ー研究者を目指したきっかけは何でしょうか。


私自身、体力がないということと、公害病の母親がいたので、大学院生をしながらであれば介護しやすいのではないかと思いました。


当時は研究者が楽そうに見えていましたね…。私企業でバリバリ働くのは無理だと思っていたのですが、今思えばこの歳になっても働いている研究者が一番忙しいような気がします(笑)

 





ー中大生に一言お願いします。


自分の家族や恋愛を脇に置いてみると面白いものが見えてきます。


「結婚して離婚もせずに子供は2人、男は仕事、女は家族」ということだけが幸せな人生ではないということを伝えたいですね。


そもそも皆さんは4人に1人は一生独身だし、4人に1人は一回は離婚します。どのような家族を作っても大丈夫、幸せに生きていけるように考えておいてください。



 

山田 昌弘(やまだ・まさひろ)

1957年東京都生まれ。東大大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大教授などを経て、2008年から中央大教授。専門は家族社会学。著書に「少子社会日本」(岩波書店、2007年)「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」(光文社、2020年)など。


(小泉美)

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