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「デジタル化で温もりのある社会へ」河野大臣講演会



 河野太郎デジタル相は、15日午後、中央大学Cスクエア2階中ホールで講演した。河野氏は、ユーモアを交えながら、約1時間講演し、会場からの質問にも答えた。本講演会は、中央大学政治学会が主催し、中央大学の学生約300名が参加した。


◇「世界標準で腕試しを」

 河野氏は、冒頭、学生の就活に言及した。日本は、国内に就職する学生が多く、「世界標準」に合わせることへの意識が薄いと指摘。20代のうちに思い切って、「外」に出ることが、大切だと学生にエールを送った。また、先日の、イギリス内閣改造で新しく就任した財務大臣のハント氏が、日本語堪能であることに触れ、海外で活躍するには、英語だけではなく、「英語プラスワン」の語学力も必要だと述べた。


◇「アナログ規制の打破を」

 河野氏は、日本のデジタル化が進まない背景に、「アナログ規制」と呼ばれる障壁があると指摘した。例えば、手続きを対面で行わなければならない規定であったり、申請をオンラインではなく、紙面で提出しなくてはならない規定だ。こうした規制を撤廃し、効率化を図ることが重要だと熱弁した。

 ハンコ廃止もアナログ規制の一つだった。河野氏は2020年、国の行政手続きに必要な押印廃止を発表し、廃止に取り組んできた。現在では、多くの行政手続きで、押印が廃止されたことに言及し、成果を強調した。


◇「自治体に国がサポートを」

 国内の実情に合わない規制についても、河野氏は改善を強く訴えた。茨城県境町を訪問した際に、町長から町内で取り入れている「宅配ドローン」を紹介された話を取り上げた。宅配ドローンは、人口減少社会で、地方自治体の基礎インフラになる可能性を秘めている。しかし、現状では、規制により、ドローン本体が、道路の上空を飛行しなくてはならないことなどの不合理な規制があることを町長から伝えられ、河野氏が、困惑したエピソードを披露した。デジタル化や新しい技術を推進するうえで、地方自治体の力だけでは、不十分で、デジタル庁などをはじめとした国のサポートが重要だと説いた。


◇「管理社会と技術の促進は別の話」

 講演後の質疑応答の時間では、ビックデータの活用によって、管理社会が進んでいくのではないかという懸念について、会場から指摘された。これに対して、河野氏は、デジタル化が進んでいなくても、独裁政権は存在する。技術があれば容易に管理ができるということはあるが、管理社会にするかどうかは別のベクトルの話だと、懸念に一定の理解を持ちつつも、否定した。また、技術が悪いのではなく、管理社会を構成する「体制」が問題なのではないかと述べた。



◇「災害支援もデジタル化で」

 東日本大震災を契機に、政府が被災地現地のニーズに応じて支援を開始するのではなく、政府が積極的に支援物資を送る「プッシュ型支援」が採用されるようになった。しかし、アレルギーや薬など個別具体的な事情に対応した物資をどこにどれだけ送れば良いのかという問題が依然としてある。そこで河野氏はマイナンバーカードの重要性を説いた。カードに情報を載せておくことで、迅速に避難者の登録を自治体が行うことができ、どこの避難所がどの物資をどれだけ必要なのか一瞬で情報が集められる。また、どこに誰が居るのかの情報を共有できるため家族の安否確認等にも活用できる。このように、河野氏は、災害支援の分野でのデジタル化も急務だと述べた。


◇「デジタル人材が足りない」

 河野氏は、デジタル人材の不足についても言及した。デジタル人材はIT企業に集中し、役所には少ない。そのため、役所がIT知識が欠けていて、民間企業に依存する構造が存在する。また、地方自治体ごとに異なるシステムを導入しており、税制などの国の制度が変更された際、自治体それぞれがシステムを変更を余儀なくされる非効率な実情がある。それに対して、河野氏は、政府主導で一括して、管理していく必要があると述べた。しかし、そうした国主導のシステム開発にも、デジタル人材が不足しており、人材確保が急務であるとも指摘した。


◇「文理問わず、デジタル教育の強化を」

 AIで古文書を解読させるという発想は日本人からは出てこなかった。なぜなら古文書の解読を研究している人でAIの勉強をしたことがある人がいなかったからである。日本では高校での文理選択で文系を選択すると、理数系の授業は少なくなり、大学でもそれは変わらないというのが現状である。一方で海外ではかなりの大学でコンピューターサイエンス入門を必修の科目としている。大学の授業においても、自らの専攻に加え、必修で、サイエンス、AIを勉強しなければならないような大学のカリキュラムに変えていかないといけない。デジタル化が進む中でデジタルについて勉強している人の数は驚くほど変わっていない。河野氏は、大学の提供するコースが、世の中の動きについていけていないことに警鐘を鳴らした。


◇「デジタル化で温もりのある社会へ」

 河野氏は、デジタル化は、利便性の向上と人が人に寄り添える社会の実現ための政策であると語った。デジタル化によって、煩雑な手続きを簡略化し、人間にしかできないことをすることが、豊かな社会につながる。例えば、教育分野では、オンライン教育の規制を撤廃し、教員の負担を軽減することで、教員は、進路相談などの生徒一人ひとりに寄り添った指導に時間を多く割くことができる。デジタル化は、温もりのある社会の実現のために必須であると熱弁した。


(小林・柴)







 


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