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  • 執筆者の写真中央大学新聞

【波紋】月に祈る

2024年1月20日、JAXAの小型探査機「SLIM」が月面に着陸した。これにより、日本は、ソ連、アメリカ、中国、インドに続き、5か国目に月面着陸に成功した国となった


▼月――地球の周囲を約38万キロメートル離れて公転している惑星。直径は約3476キロメートルで、重力は地球の約6分の1。誕生に関しては、別の星を地球の重力で捕らえただの、地球に星が衝突したときの欠片が集まってできただの諸説ある

▼そのような月と我々人類の歴史は紀元前まで遡る。世界各地の古代の人々は、月を神に見立てたり、満ち欠けを観察し、暦として用いたりしてきた

▼神格化・標準化されることにより、長きにわたって人々の生活を空から見守っていた月であったが、それを揺るがす出来事が起きる。宇宙開発競争である

▼第2次世界大戦後、冷戦に突入したアメリカとソ連は、自国の科学技術の進歩と軍事力を示すため、宇宙開発の分野でも競い合った。その1つとして、どちらが先に月面着陸を成し遂げるか、という競争があった

▼‶We choose to go to the moon(我々は月へ行くことを決めた).″1962年9月12日に、アメリカの第53代大統領であるジョン・F・ケネディがライス大学での演説中に発した言葉である。アメリカは無人探査ではソ連に先を越されてしまった。しかし、この言葉通り、1969年7月21日、アポロ11号の月面着陸により、ソ連に先んじて人類を月に送り出すことを成功させた

▼アポロ計画から55年経った現在、各国の機関だけではなく民間企業も月面探査事業に参入しており、競争は激化しているといえる。なぜ、未だに人類は月を目指し続けているのか

▼ケネディは演説の中で、「容易だからではなく、困難であるから」月へ行こうとする、とも言っている。現在、月面着陸の成功例はあるものの、正確に着陸することや、水の存在可能性のある月を開発し、生活することは難しいと言われている。このように、難解な月開発の主導権を握ることは、人類に進歩をもたらし、自国の科学技術力を誇示することにもつながる。だから、各国は官民こぞって月を目指すのだろう

▼アポロ11号の船長で、人類史上初めて月に降り立ったニール・アームストロングは言った。‶That's one small step for a man, one giant leap for mankind(これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である).″

▼今後も激しい開発競争が続き、5か国目に月面着陸を達成した日本も、その渦中から逃れることはできないだろう。しかし、それが「大きな飛躍」を生む可能性は高いともいえる。ただ、競争相手国が成し遂げたことであっても、人類全体の飛躍として、世界中の人々が素直に喜ぶことのできる日は来るだろうかと、月に祈ってみる。 

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