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  • 執筆者の写真中央大学新聞

パイオニア株式会社取締役兼常務執行役員、高島直人氏インタビュー


今回パイオニア株式会社様からお話を頂き、中央大学 OBであり、パイオニア株式会社取締役兼常務執行役員を務める髙島直人氏にインタビューする機会を設けて頂いた。髙島氏の学生時代から現在に至るまでお話を伺ったため、就活を控える大学 3、4 年生は勿論、大学1,2 年生もこれからの良き学生生活への参考になったら幸いである。



―まずは自己紹介をお願いいたします。


学生時代は後楽園キャンパスに通っていて、電気、モーターの研究をしていました。小さいころから電気工作が好きで、電気工学科に入学しましたが、当然のように入学してみると毎日工作というわけでもなく、理論や数学、物理なども学びました。理系は特に実験があり、実験はレポートも含め楽しかった記憶がありますね。1988年にパイオニア株式会社に新卒で入社して、すぐに電気設計の部署に配属され、主に車内のラジオ・チューナーの設計をしていました。当時、ある自動車メーカー関連の非常に大きなプロジェクトがあったのですが、何も知らずに入社した私は、どんな部署に行きたいかを尋ねられ、「大きなことがやりたい」と伝えたところ、そのプロジェクトに入れてもらったのはその後につながる良い経験となりましたね。また、日本の自動車は全世界で売られるため、入社3年目には出張で単身渡米し、ニューヨークの住宅街やマンハッタンで、クライアントと一緒に、実証実験として試作車を走らせて、どんな受信状況かを確認しました。工作も小さい頃から好きでしたが、海外のラジオを聞いて現地の情報を得ることも楽しくて、すごくやりがいを感じましたし、入社した頃のエンジニアとしての設計への熱い想いは、今でもとても強く残っています。


―中央大学に入学された理由は何でしょうか。また、なぜ電気工学科を選ばれたのでしょうか。


小さい頃から電気工作が好きで、電気工学科というのは憧れでもありました。そんな電気工学を学べる大学で、ロケーションも良く学力的にも合致するという点が中央大学に入学した理由です。


―大学生活で力を入れていたことは何でしょうか。


「働く」ということに興味があり、学びのかたわら、アルバイトには力を入れて取り組んでいました。僕らの学生時代はバブル経済で1986年から91年位まで世の中がお祭り騒ぎで、会社員がタクシーで飲みに行くほどだったのですが、でした。「お金を稼いで、お金を使う」。そんな経済循環を自分の中で作り、働いていましたね。


―アルバイトは何をされていたのですか?


はじめは学習塾で働き、その後、学習教材の訪問販売のアルバイトをしていました。とても大変でしたが、そこで得たものはとても大きかったです。見ず知らずの家に飛び込みで営業をするわけで、勿論普通は警戒してほとんど断られてしまいますが、100件に1件話を聞いてくれたりします。話していく中で自分自身を信用してもらい、それから商品を信用してもらい、契約に繋げていきました。文系でも理系でも基本は営業で、相手とコミュニケーションをとって間合いを詰めていく、自分を売り込んで、信用してもらうというのは社会に出てからも非常に重要で、それを学べたことが訪問販売のアルバイトで得た大きな経験だったと思っています。


―そのアルバイトをされているときに大切にしていた考えなどはありましたか。


「一期一会」という言葉を大切にしていました。今もそうですが、その時に出会い、触れ合った相手との関係、繋がりを大切にしています。訪問販売で門前払いされるのも一期一会。話を聞いてもらえるのも一期一会だと考えていました。


―大学の授業に関して、どのように授業を受けていましたか。

お恥ずかしい話、自分自身が「働く」ことへの興味が強かったのもあり、正直なところ授業とバイトだとバイトの比重が大きかったです。中には、単位が取れないのではないかと夢に出てくるぐらいプレッシャーに感じていた教科もありましたね(苦笑)。パイオニアに入社してくる中大の後輩はもっと勉強して入ってくる新入社員も多く、自分ももっと勉強しておけば良かったと思います。社会人になって分かったことですが、数学、理科の勉強は、実際にどのように使うのかは学生時代には分かりません。入社して3年間は、みっちりと実用的な勉強をしていたので、結果的に、私は給料を貰って勉強をする形になりました。楽しくもあり、勉強になったと感じた最初の3年間でしたね。


―理系だと学んだことが会社で生きてくるため、大学での授業の意欲にも繋がると思いますが、文系だと社会人になれば基本は営業からスタートするため、大学で学んだこととの繋がりが少なく勉強の意欲が上がらないと思うのですが、授業や勉強の意欲を保つためにはどうしたら良いでしょうか。


自分自身のキャリアについて、茫洋とでも良いので、学生のうちから考えておくことをおすすめします。自分が将来どうなりたいかを考えることで、社会と学びの繋がりを感じたり、きっかけを得たりすることができるのではないでしょうか。今は、定年まで終身雇用とは限らない時代です。やりたいことが出来ないのであれば、その会社にいる必要はないと思いますし、転職をする時に自分の価値をどのようにして売り出していくのか?将来やりたいことをやるために、どんな武器を備えるのか?目的を持った勉強をすることが大切だと思います。


―なぜパイオニア株式会社に入社されたのですか。

もともと電気設計が好きで、電機メーカーが良いと考えていて、家にパイオニアのステレオがあったためパイオニアを受けました。


―入社前と後で感じたギャップはありましたか。


「仕事として設計を行う」ことはどういうことなのかを学んだという点で、イメージの変化はありました。電気工作が好きでやっていましたが、仕事として設計をすることはまた別で、先輩からは常に売り物を作っている意識を持つことを叩き込まれましたね。それまで、お客様がお金を出して買うものを提供するために、何万台もの生産ラインでものづくりをするというのは想像出来ませんでした。しかし、実際に目にして、自分が手を加えたものが何万台という製品に組み込まれて、何万人というお客様の手元にいくというのは非常に感慨深く感じたのを覚えています。


―これまで歩んできたキャリアで様々な転換点があったと思いますが、その時々で大切にしていた考え方はありましたか。


「仕事というのは一人でやっているわけではない」ということは強く感じていました。行き詰ったときに、お客様がヒントをくれることも多々ありましたし、チームが集まって部門ごと、組織ごとにみんなで取り組むという考え方はとても身に付きましたね。


―どうやったら人を引っ張る役職に就くことが出来るとお考えですか。

私は、パイオニアの役員という役職を頂いていますが、これは「天命」だと思っています。「こういう役職に就きたい」と心の中で思うのは良いですが、それは外に発していいものではないと私は思います。ひたむきに頑張ることが何より大切で、誰かが自分の頑張りを見ていてくれています。私も今は役員という立場にいますが、本質的な部分は昔から変わっていません。



―社内の改革を進めていると伺いました。具体的にどのような改革を進めるのか、またどのような会社を目指すのか、お答えいただければ幸いです。

パイオニアは、これまでその名の通り、さまざまな世界初、業界初の製品を作ってきましたが、少し前に経営状態が好ましくなくなり、2019年に上場を廃止して、現在、再成長に向けた改革を進めています。事業で利益を生み出し、その利益を次の成長に投資するというサイクルを回し、株主様に還元していくことが健全な経営ですが、それができない状態が続いていました。そのサイクルを再び健全な状態にすることが、私の第一の役目だと思っています。ここ数年、着実にその成果が出てきていて、三期連続黒字となりました。次にすべきことは、成長への投資だと考えています。しかし、マーケットは日々変化しています。過去のように同じものを作っていても成長ができない時代がきています。例えば、今の若い方は、スマホさえ持っていれば、他は何もいらないという方が多いように感じています。そうしたマーケットの状況が変わる中で、頭を絞って、次の成長への投資を考えています。特に、AI技術は、今後の製品を考える上で避けては通れません。当社の新しい通信型オールインワン車載器である「NP1」という商品もAI技術がベースとなっています。


―経営の正しいサイクルができなくなってしまったのは何故だとお考えですか。


個人レベルに落とし込んで考えていただくとわかりやすいと思います。ご自身で稼いだお金を、自己実現のための投資に回すとか、生活費に使うとか、収入をどのように割り振るか計画すると思います。でも、ある時、生活するための資金が借金になると、どんどん収入と支出のバランスは崩れていきます。会社も全く同じです。事業で利益が出ない中でも、お客様との関係も大切な一方、投資が必要となると、投資と回収のバランスが崩れてしまいます。また、一万人以上の従業員を抱えているため、給料を払うための固定費が一定額かかります。このように正しいサイクルが崩れてしまうと、会社は脆いわけです。


―新しい投資をするときには、古いマインドセットを変えていかないといけないと思います。その点は、どのようにお考えでしょうか。


率直に言うと、まだその途上ですね。ただ、パイオニアは世界初の製品を過去に何度も出してきました。幸いそうしたことに対するプライドを持ち、なんとか知恵を絞って、「また世界初と言われるような製品を出していきたい」と頑張る社員も多いです。そんなモチベーションに対してきちんと投資をしていくことが大切だと考えています。


―先ほど、AI技術を活用した製品のお話をされていました。AI産業はこれからの成長産業だと思いますが、さまざまな企業が参入してくると思います。その中で、パイオニアとしての強みをどのように出していくのでしょうか。


パイオニアは、過去、ディスプレイなどのさまざまな製品を手掛けてきました。その中でも、車載機器は、約50年の歴史があります。快適なドライブを提供するためのノウハウや、長年培ってきた経験があります。そこにAIの技術を入れることで、これまで気づかなかった製品の使いづらい点などを抽出することができます。また、ドライバーと車載機器をストレスフリーに接続することも、AIによって実現できます。そこが私たちの強みなのではないかと思います。


―近年、SDGsや社会や環境に配慮した投資いわゆる「ESG投資」が注目されています。この動きをどのように捉えていますか。


一つには、製品の寿命を伸ばすことを考えています。これまでは、車の買い換えと同時にカーナビも買い替える、というケースが多かったと思います。しかし、そうではなくて、長く使い続けられるような工夫、例えば、ソフトウェアをアップデートできるようにするなど、そうした取組を行っています。また、これからEVがどんどん普及してくると思います。充電スポットをカーナビの地図上に記載するなど、そうした面で社会の持続的な発展に貢献したいと考えています。


―最後に中央大学の学生に一言お願いします。


学生時代を十分に謳歌してもらって、悔いのない学生生活を送ってもらいたいです。そして、会社に入って仕事をする心構えとしての準備をしてもらいたいと思います。ぜひパイオニアに入社して頂きたいです。



            (柴、小林)

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