箱根へ旅行に出かける際、その移動手段としてまず挙がるのは小田急ロマンスカーなのではないだろうか。都心から少し離れた場所にある箱根ではあるが、その移動時間すらも素敵な旅に変えてくれるのが、そうロマンスカーなのである。
そこで今回は、そんなロマンスカーの特徴や魅力を深掘りしていきたいと思う。まず始めに大きな特徴として挙げられるのは、箱根エリアの玄関口である箱根湯本駅まで、乗り換えなしで行けることであろう。新宿~箱根湯本間を最速75分で移動可能であり、その間は全席指定のリクライニングシートでゆったりと快適に過ごすことができる。さらに、大きな窓で景色を楽しみながら、駅弁を堪能できるのはとても魅力的である。天気の良い日であれば、車窓から富士山を望むことも可能だ。ところで、ロマンスカーとひとえに言っても、その車型が1つだけではないことをご存じだろうか。現在、ロマンスカーには計4種類ものラインナップがあり、それぞれの車種ごとにさまざまな特徴を持っている。それでは、4つの車型を順に解説していこう。
まず紹介するのは「EXE」(30000形)だ。「Excellent Express(素敵で優秀な特急列車)」から名付けられたこの車型は、6代目の新型特急であり、1996年に運行が開始された。4車種の中で最も座席定員が多いことから、通勤・通学客が利用するホームウェイのメイン車型としても親しまれている。そして、上記の型にバリアフリースペースや多目的トイレ等の要素をプラスαとして加えたのが「EXEα」(30000形)だ。2017年に運行を開始した比較的新しいロマンスカーであり、今回我々を運んでくれたのはこの車型であった。
「EXAEα」の車体
次に紹介するのは、青いロマンスカー「MSE」(60000形)だ。「Multi Super Express(多彩な運行が可能な特急列車)」と命名されたこの車型は、東京メトロ千代田線内に乗り入れ、初めて地下鉄を走るロマンスカーとして2008年に運行を開始した。またこれは同時に、初の地下鉄内座席指定特急の誕生でもあった。その名の通り、まさにそのマルチタレントぶりが特徴のロマンスカーである。
最後に紹介するのは、ロマンスカーの伝統色であるバーミリオンオレンジを基調とした「GSE」(70000形)だ。「Graceful Super Express(箱根につづく時間(とき)を優雅に走る特急列車)」というコンセプトのもと開発され、2018年に運行を開始した最も新しいロマンスカーである。そしてこの車型最大の特徴は、その大きな窓にある。大型の一枚ガラスを使用した先頭車両の展望席では、流れゆく大迫力の風景を楽しむことができるのだ。
1957年のデビューからすでに半世紀以上の時を経た小田急ロマンスカー。しかし、その人気はとどまる所を知らない。年々改良を続け、時代の最前線を走り続けるロマンスカーは、我々により快適な旅を提供し続けることだろう。(板谷)
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