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執筆者の写真中央大学新聞

雄大な自然に癒しを求めて ~浄蓮の滝~

 下田市内の散策を終えた後、天城峠を越えて浄蓮の滝に向かった。宿への到着時間を考慮し、滞在時間は僅かではあったが、滝の様子は見事なものであった。


 浄蓮の滝と言えば、石川さゆりの名曲、「天城越え」の舞台を想像する人が多いのではないだろうか。浄蓮の滝は天城山の本谷川にあり、高さ25m、滝壺の深さ15m、幅7mの伊豆最大級の滝である。日本を代表する滝が選ばれる、「日本の滝百選」にも選出されている。滝の名前は、かつて滝の近くに浄蓮寺という寺院があったことが由来とされている。また1万7000年前に、天城山の寄生火山である鉢窪山の噴火で流れた溶岩によって、滝が作られた。そのため、滝の横には火山活動が行われていた形跡として、柱状節理がある。柱状節理とは、火山活動の後にマグマが冷え、収縮してできる柱状の割れ目のことである。浄蓮の滝以外に柱状節理がある代表的な場所としては、福井県の東尋坊が挙げられるだろう。


浄蓮の滝の様子 目の前にすると圧巻である

 バスを降りると、およそ200段ある長い階段を、息を切らしながら下っていく。かなり急な階段で、降りるのも一苦労であった。運動不足の人には、苦行そのものだろう。しかし、涼し気な水の音が聞こえてくると、汗が引いていくのが分かる。その日はとても暑く、湿度の高い気候であった。しかし川の水は真夏でも16℃程度であるため、滝の前に来ると少し肌寒く感じるほど涼しい。岩と岩を切り裂くように、水が激しく音を立てて流れる様は圧巻であり、自然の力強さを感じた。それと同時に、川の底が見えるほど透き通った水に感激した。


 さらに下の方へ降りていくと、一面にわさび田が広がっていた。伊豆のわさびは、高級寿司店で使用されるほど上質なものである。しかし、「なぜ滝にわさび?」と思った人もいるだろう。わさびはどのような場所で育つか知っているだろうか。気温、水の綺麗さ、日光の強さなど、様々な細かい条件が揃わなければ、わさびは育たないようである。そのため、川の底が見えるほど水が透き通っている浄蓮の滝で、上質なわさびが育つのも納得である。


一面に広がるわさび田

 浄蓮の滝には、お土産にわさびを買ったり、鱒釣りを楽しんだりと、滝を見る以外の楽しみ方も多くあった。長く急な階段も、雄大な自然が与えた試練だと思えば、それすらも楽しめるだろう。日々の生活に疲れ切った際に浄蓮の滝に行けば、癒されること間違いなしである。(小泉)

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