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  • 執筆者の写真中央大学新聞

中大に資料館オープン、企画展も

4月1日、多摩キャンパスに「大学史資料館」と「法と正義の資料館」がオープンした。キャンパス奥の「炎の塔」に2つの資料館が収まる形となっている。本館2階、廊下を挟んで右の「大学史資料館」は英吉利法律学校に始まる大学の歴史を展示している。左の「法と正義の資料館」では基本的人権の尊重や、正義の実現を目指した法曹たちの業績が展示されている。ターゲットは主に高校生で、この資料館を通じて「社会正義を果たす人間」を目指すようになってほしい、とのことだ。

なかでも力が入れられていたのは、法と正義の資料館の企画展示である、「医学者証言を覆せ‐弁護士 松波淳一の闘い‐」だ。

富山県で発生したイタイイタイ病はみなさんも教科書で習っている通りだろう。しかし、この公害の被害者救済が当初は難航していたことを、どれだけの人が知っていただろうか。本来なら国が被害者を救うべきところを、国までが企業側の擁護をしていた。また当時は、公害裁判で被害者側が勝訴した前例は無かった。どうみても被害者が不利な裁判で、弁護に立とうとする者はほとんどいなかった。その中で正義感に燃え、実行に移したのが中大出身の法曹、松波淳一弁護士だった。

資料館には、松波弁護士の系譜の他に、彼自身が事件記録を詳細に綴った「イタイイタイ病研究ノート」や、司法試験受験生時代の参考書が展示してある。病に人生の半分以上を侵された女性の言葉もあった。被害者は、苦しんだうえに「裁判をせざるを得なくなった」のだった。

そもそも弁護士はなんのためにあるのかという、最初の理念に立ち返ることができる展示だった。

2つの資料館を見て本学の「行動する知性」をより実感できるのではないかと思う。


企画展は2025年3月31日まで。

開館は午前10時~午後5時、原則として日曜祝日休館。入場無料。問い合わせは同大(042・674・2132)へ。


(小武海)

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