top of page
  • 執筆者の写真中央大学新聞

【波紋】光と影

 陽が差さない場所がこの世にないのなら自分自身を陰にしてしまう方法はないかと、模索している___金原ひとみ『蛇にピアス』に出てくるセリフだ。


 ◆夜の世界をさすらう女主人公・ルイはクラブで知り合った男・アマに惹かれ、スプリットタンや刺青、ピアスなどの身体改造にハマっていく。明るい世界を忌み嫌い、自身を影の存在に葬る彼女は、作中、物理的な光にさえも寄り付かない。


 ◆中央大学構内は、暗くなるとイルミネーションがライトアップする。ツリーに巻きついた電飾、垣根が色とりどりに光る眺めは思わず立ち止まって見てしまうほどの光景だ。


 ◆なぜイルミネーションを夏ではなく、冬に飾るのか。それは、気温が低いほど空気中の水分量は少なくなるため、暑い時期と比べて、光が遮られず、綺麗に見えるからである。冬の方が、暗闇の純度が高い。光は、濃い影あってこそのものなのだ。


 ◆ いったんスマホをしまってみて、自分を影にしてみると、イルミネーションの綺麗さ、星の美しさがより、際立って見える。影が濃ければ濃いほど、光が美しく見えるのだろう。(小武海) 

閲覧数:14回0件のコメント

最新記事

すべて表示

【波紋】アイデンティティーで裁き合う世界で生きる

「子供の1年は大人の10年」という言い回し(ジャネーの法則と呼ばれるようだ)があるが、最終学年への進級を控える筆者にとっては時が経つのが本当に早く感じられる。2024年は中央大学法学部の茗荷谷移転から早くも1年が経過し、さらに能登半島地震や羽田空港の飛行機衝突など年始から不穏な事件が相次ぐ中、今年も決して平易ではない入学試験を突破した新入生の皆さんが中央大学の学生の一員としての生活を始める。毎年様

中大 新学部設立か

現在中央大学には8つの学部と6つのキャンパスが存在している。「経済学部」「商学部」「文学部」「総合政策学部」「国際経営学部」は多摩に、「理工学部」は後楽園に、「国際情報学部」は市ヶ谷田町に、そして「法学部」は茗荷谷にそれぞれ設置されている。都内に5つのキャンパス、合計8つの学部を有する中央大学に近年、新学部設置の話が挙がっている。 中央大学は中長期事業計画 Chuo Vision2025 を掲げて

bottom of page